仙急特急乗車記

(注)とても長いです。


ある冬の朝。山形へ旅行中の僕は帰省のときには乗らない仙台急行の特急に乗るために始発駅の山形木の実町駅に来た。山形木の実町駅は開業当初、意地でも山形都心部に乗り入れ、将来的には天童に延びるためにあえてこの北向の駅になったらしい。現在の駅は櫛形のホームで、仙台行きの特急は端の1番線ホームから発車する。並走する単線のJRと違い、昼間もおおよそ20分間隔で特急系の優等列車がこの駅を出発する。

電車がホームに滑り込んできた。濃いオレンジ色の帯を巻いた特急車の2000系。名古屋の大手私鉄のような指定席券が必要な特別車2両と切符のみで乗れる一般車4両の車両だ。今日は先頭からの展望を楽しむために特別車の先頭車に乗る。先頭は全面展望を楽しめるように2階建てになっているのだ。

車内整備を終えた特急に乗り込み、定刻通り11:10に山形木の実町駅を出発した。すぐにJR山形駅近くの仙急山形駅に停車する。 「この電車は特急仙台、松島方面、特急女川行きです。次は一番町に停まります……」この仙急特急、山形から仙台は完全に都市間輸送のみに対応するため次の停車駅は仙台都心部の一番町まで停まらないのだ。そのため利用客も仙台への通勤通学客がとても多い。今日は休日のため買い物や行楽に出掛ける家族連れが多い。

電車は仙急山形駅を走ると山形都心部を走り抜き、都心部を抜けたと思ったらすぐに山間部に突入する。奥羽山脈を抜けるために笹谷峠を目指すのだ。電車は山間部に入ると無人駅の小駅を何駅か通過すると山形道と並走しながら笹谷トンネルを通過する。

約3kmの笹谷トンネルを越えると宮城県に突入する。山を降り、秋保温泉からの線路と合流すると仙急の最も本数の多い区間に突入する。本数が多い区間についても長町と言った駅を通過し、仙急特急は走り続ける。川を渡り地下トンネルに入ったと思ったら3駅連続停車の最初の駅、一番町に到着だ。

一番町である程度降車と乗車がありいよいよ仙急最大のターミナル仙台中央駅に入線する。仙台中央駅は青葉通の地下に駅を構え地下鉄仙台駅と接続している。また仙急系の商業施設に直結しており、近年の複合的な再開発もあり平日休日問わず多くの乗降がある。仙台中央を出発するとまたすぐに仙台東口に到着する。この区間、仙台市営地下鉄東西線とのX状での直通ネットワーク構築のため複々線で作られているが、東西線がリニア式で建設されたため複々線は仙急が全面的にしようしている。

そして一駅区間しかない複々線を走ると仙台東口に到着する。JR仙台駅はこの駅で接続しており、この駅から仙台~山形、仙台~松島~石巻でJRと古くから戦いが起きている。ここで乗務員が交代し、電車は松島、そして石巻や女川へ走り続ける。